REIKOの紹介文
門いくさんは女手ひとつで娘さんを育て、その娘さんと女同士の会話を楽しめる現在に至るには、いかなる苦難を乗り越えたか、私なりに想像してみる事はできます。…が、門さんは、子育てをしながら、ご自身をもしっかりと確立され、しかも彼女は、青空のもと真夏の陽を浴びてのびのびと咲く、黄色いひまわりのようなイメージを抱かせる女性なのです。冬を経験した門さんの「ベストタイム」には、だから、私の心に真っ直ぐに飛び込んでくる味わいがあるのかもしれません。門さんの心の旅を少しのぞかせていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。



VOL.2 ベストタイム(2004 2.2)

私は人と会うために旅にでます。会う日までの過程が好きだからです。私流ではありますが、人と会うという目的があることによって、道のりが楽しくて仕方がないのです。
懐かしい人に会いに行く、愛しい人に会いに行く、その目的はそれぞれ違うからこそ、自分の時間の流れが、最高になるのです。

4年前の七夕の日に旅に出ました。
普通は家を出発してから長くても、3〜4時間位で目的地の友人に会える程度の旅ですが、その日は違っていました。乗り物に乗ってる時間が長いという訳ではなく、会う人との待ち合わせ時間が長かったのです。
初めての事でした。旅先に着いてから11時間も一人で過ごすなんて…。もっと遅い飛行機や電車に乗ればよかったのですが、とにかく旅先へ着きたかった。こういう気持ち持った事ありませんか? そこで私は考えました。たまには自分にスペシャル「ご褒美」をあげてもいいのではないかと。一人で贅沢かなと思いましたが、タクシーを自分だけの為にチャーターしました。ちょっとシンデレラになった気分で町並みを見て回ることにしたのです。運転手さんには「あのお城に行きたい」「美術館に行きたい」「おいしい食事がしたい」。それはそれは希望の多い客だったと思います。 普通このタクシーの運転手さんは、会社からの依頼を受けて、重役以上のクラスの人達を対象に観光名所を回ります。もちろんほとんど男性。私みたいに一人の女性は初めてと言われました。私がさすがだなーと感心したのは、城跡を見てタクシーに戻ってきた時です。白い手袋をして冷たいおしぼりが出てきた時には、ファーストレディになった気分でした。行く先々では美術館に関しての知識ある話をしてくれて、見たいという気持ちを前以上にわくわくさせてくれます。陶器、磁器、絵画、食べ物、温泉、・・・私の興味ある事を次から次へと話してくれました。 昼食は何百年も続いているお蕎麦屋さんに連れてって頂きました。通常お客とは同席しないという事でしたが私がお願いして一緒に食事をさせてもらいました。にも関わらず、誘った私の方がご馳走になってしまいました。その後は、これまた今まで食べた事の無いデザート。隠れ茶店で頂き大満足!自分にご褒美の旅だと言ったら殊のほか喜んでくれたようです。最高の案内人に巡り会えた気持ちでした。

後日お礼状を出したのをきっかけにハガキのやり取りが始まりました。美味しいものがあれば送り、絵画を観ればポストカードを送り、俳句、短歌を添えてはと季節の思いを交換しています。
シンデレラがその後、織姫となって楽しい時間を持てた事はいうまでもありません。
ベストタイムにするには、充分過ぎる待ち合わせまでの時間。大切な大切な思い出のひとつです。

門 いく(2004 2.2)

門 いくプロフィール/血液型:B型 星座:双子座 干支:午 子持ちのバツイチ ただ今恋愛中


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